東京都伝統工芸士会

江戸筆(えどふで)

江戸筆

主な製造地

台東区、豊島区、練馬区ほか

指定年月日

平成2年8月9日


沿革と特徴

文房四宝の一つ「筆」は、「日本書紀」の推古天皇の18年(610年)3月の条に、高句麗僧曇徴(どんちょう)が「紙、墨の製法を招来した」と記されており、一応これが筆、墨、硯、渡来の嚆矢とされています。
以来、文化の発展と伝承に欠かすことのできない道具として、用途別に各種の筆が製造され、その製造技術も進歩改良されてきました。

 

江戸時代も中期には、商人の台頭とともに「寺小屋」が急増し、庶民の間にも筆が普及し大量に使われるようになり、江戸の筆職人の技術もさらに進歩し、多くの江戸名筆を生みました。江戸主流の製造法「練りまぜ法」は元禄期に細井広沢により確立された手法で、明治5年の学制発布と共に急速に広まりました。

 

関東大震災、第二次世界大戦の惨禍により、筆職人の多くは東京を離れましたが、東京に残った筆職人は、高級筆の製造に活路を見出し、技術技法の継承を図っています。
筆の穂先には山羊毛・馬毛・たぬき毛・いたち毛・玉毛などが使われます。
中でも書道用の筆には 中国産の山羊毛が多く使われ 中でも首下、内腿部の毛が最良の毛として珍重されています。 先出造りは、筆の命といわれる穂先を造りだす作業で、金櫛で梳きながら毛先を揃え、毛先の無い毛や逆毛を取り除きます。
型造りは、穂の形を作り出す作業で、毛の間のバランスを図り、穂先の美しさを出すには高度の熟練を要します。
練りまぜは、毛丈の違う毛を均一にまぜあわせる工程で、穂の良否を左右します。
芯立ては、こまを使って穂の形を作り出す作業で、芯の固さ、穂先の弾力など指先の感触を頼りに毛の量を調整するものです。

 

連絡先

産地組合名 一般社団法人東京文具工業連盟
所在地 〒111-0053
東京都台東区浅草橋1-3-14
電話番号 03(5687)0961
ホームページ http://www.bungu.or.jp/