そもそも彫金とは

まずは「東京彫金」で用意しているパンフレットから抜粋。

「古墳時代を起源としている彫金の技術は、初期に毛彫りや透彫りがもちいられ、冠帽、指輪、簪などの
装身具等の精巧な技術をみることができます。その後、格式を重んじる"家彫"が主流をしめ、江戸元禄期に
は、自由な発想と新しいデザインの"町彫り"が現れ煙管、根付など生活用品に広がりをみせました。」

明治以降もこの流れはつづき、現在にいたっております。生活様式の変化にともない、額、花瓶、置物などの
器物から現在はブローチ、ペンダントなどの装身具が主流となっています。

そもそも、彫金とは「彫る金(かね)」と書きます。すなわち、彫金の金はゴールドの金ではなく「金属」の
金(きん)なんですね。金属に彫るから彫金というわけです。ときどき、銀に彫金したので、「彫銀」なんて
人がいますが、これは不正確です。銀にほっても、銅にほっても、アルミにほっても、「彫金」と、称します。

では、伝統工芸についてですが、現在一切金属を彫らずにワックスを加工するのみで型をつくり、鋳造したも
のを彫金と称する人が非常におおくなってきています。前述のように彫金とはあくまでも、金属を彫るもので
す。私は新しい技術、工具、デザイン等は積極的にとりいれるべきだと考えます。しかし、金属を彫らないも
のを私は彫金とは呼びません。ワックスを加工したものと、「タガネ」で金属を彫ったものでは繊細さがちが
います。長い年月をかけて築き上げた確かな技術と表現力、それが伝統工芸なのです。



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